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【ネタバレ注意】演劇集団キャラメルボックス「南十字星にて」感想 [舞台]

ダンデライオンに続いては、
南十字星を。
ちょっと先ほどの分とかぶりますが
同様の注意書きを。

もうかれこれ一ヶ月前になりますが
2月19日に南十字星だけを
20日の夜と21日に二作品通して観てきました。

大阪でしか観られていないので
名古屋や中野を経て
すでに違った表現に変わっているところも
あるかとは思いますが、
とりあえず大阪版の感想です。
どんどん書いていたら超長文になったので
一作品ずつです。

シリーズ一作目『クロノス』から
全作を舞台で観てきていて
さらに『きみがいた時間~』の際に読んだ
インフィニティの時点から
いつかは舞台版を観たい…!と待っていた作品でした。

計3回観てみて。しかも気が付いたら3日連続。
2階の上手→最前列中央→下手側バルコニーと
どんどん視点と距離が変わって、見える景色も変わって。
観たいところはある程度
観られたんじゃないだろうかと思います。

こちらは、大阪の時点では
まだまだ発展途上な印象。
でも心動かされる、ちからを感じる話でした。

以下、結構長文な
ネタバレ込みの感想です。

演劇集団キャラメルボックス
25周年記念1
ハーフタイムシアター・ダブルフィーチャー
「南十字星(サザンクロス)駅で」
2010.02.19(金)2030
2010.02.20(土)1930
2010.02.21(日)1530
@大阪・サンケイホールブリーゼ

原作:梶尾真治
『クロノス・ジョウンターの伝説∞インフィニティ』所収
「野方耕市の軌跡」

【出演】※敬称略、パンフレット参照。
野方耕市:西川浩幸
片倉珠貴:岡内美喜子
萩塚敏也:左東広之
海老名/佳江:坂口理恵
鶴巻/松田:多田直人
耕平/湯河原:三浦 剛
凛香/山北:原田樹里
めぐる:渡邊安理
頼人/22歳の耕市:畑中智行


【あらすじ】※()内キャスト名は敬称略
元エンジニアで、定年退職した今は
息子夫婦と、孫とともに暮らしている
野方耕市(西川浩幸)。
ある日かかってきた一本の電話を受けて
病み上がりの身体をおして熊本へ旅立つ。
かつて自分が開発に携わった
時を越える機械「クロノス・ジョウンター」の
修理をするために。
作業をするうちに
野方はずっと心にひっかかっていることを
再び思い出す。
57年前に事故で喪った親友、萩塚(左東広之)。
事故のあった場所へ行くきっかけをつくったのは
他ならない野方自身だった。
…そして野方は57年前に飛ぶ。
萩塚を、救うために。

---------------------------

一部、ダンデライオンからの
再利用になりますが、一応説明を。

この話は、
ある程度の過去までは飛べるけれど
自由自在には滞在もできず
さらに、帰還の際は
もとの時代どころか
飛び越した未来にはじきとばされるという
ちょっとくせのあるタイムマシン
「クロノス・ジョウンター」が関連する
連作の最終作です。

舞台化されているのは
今回一緒に上演されている
「ミス・ダンデライオン」の他
『クロノス』(2005年)
『あした あなた あいたい』
(2006年、ハーフタイム)と
少し特性の違うタイムマシン
「クロノス・スパイラル」の登場する
『きみがいた時間 ぼくのいく時間』(2008年)が
あります。
今回の主役の野方さんは
なんらかの形で全ての話に登場しています。

そして、今回の話は特に初めて舞台化された作品
『クロノス』に関わりの深い作品となっています。
作中でも説明は出てきますし、
本筋とは少しだけ離れたところで関係してくるので
一応、単品としても観られる(はず)のですが
もし可能なら、前作を知っているほうが
より楽しめる、そんな印象を受けました。


まずは、ダンスがとても楽しげでした。
女性陣のほうが似合う気もしちゃうくらいでしたが
男性陣もかわいくて。
…なぜか、おじいちゃん姿の野方さんなのに
脳内補完な感じで「きゃぴっ♪きゃぴっ♪」と
擬音をつけたい気分になりました。
それくらい、笑顔も含めてかわいかったです。

ちょこっと、残念だったのは
……頼人くんのおじいちゃんバージョン…。
あと、気持ち遅い目…
それこそ、あとほんのコンマ2~3秒くらい
ゆったり目にしゃべってくれた方が
おじいちゃんっぽいかなあなんて思いました。

すでに観ていた友人がぽつっと言っていた
「ブラックジャックがいる」を耳にしていたのもあって
もうブラックジャックにしか見えなくって。
姿はおじいちゃん、声は青年、みたいな感じでした。
酔っ払いな学生野方さんの
「おんぶ~!」からの一連のからかい場面なんかも
すんごい楽しくて好きなのですけれど…。
これはまあ別の役ですし。。

あと…鶴巻さんの…熊本弁が……。
お客様相手ですし、
ほんのちょこーっとだけ出ちゃう程度で
ほぼ標準語とかでも大丈夫だったんじゃないかなーとか。
熊本住まいの親戚はいませんが、
多分違うよね?というのは
わかってしまいました…。方言って難しい。
某小ネタも楽しかったのですが
(解説なくてもわかってしまった自分がちょっとこわい)
大阪の時点ではちょこっと、流れがぷちんと切れて
残念な感じになってる時もあって。
どうかぐんぐん話の中になじんでいってますように。

大好きなところは。
終盤の野方さんの思いに
ずっと心がひきつけられてやみませんでした。

単体の作品として、
『クロノス』とは切り離してみたときに
「吹原さん」へのこだわりが、
この作品の中で語られる分に関しては
ちょっと唐突なものに感じられてしまう点や
(何度も強調される意図が、
前作を観た人向けなように感じられて
ダイジェストで説明はちゃんとされているけれど、
シリーズ観てない人にはよくわからないんじゃないのかなあとか)
今まで散々過去を変えてはいけないと言っていたのに
ほんとに突然に過去を変えるための決意を固めてしまう点、
(なんか、クロノスまだ動くんなら行ってみたい、みたいにも
舞台だけだと見えてしまったり。)
無事に二人を助けてしまうことで起きる矛盾
(出たことのないはずの結婚式のスピーチ、
それを経験したはずの野方さんの行方、
そして萩塚がいないまま進んだ世界の行方)なんかは
どうしても不思議ではあるのですけれど。

ただ、これらの疑問もすっ飛んでしまうくらい
後半の野方さんの感情に引き込まれました。
もちろん、クロノス自体、思い入れの強いシリーズであり
愛着のある人物が多いということもあるとは思うのですが
それを抜きにしても、
やっぱり引き込まれるんじゃないかなあと感じました。

シリーズ全作を観ているせいか
私自身、野方さんというひとそのものが
別格で大好きなひとになっています。
そのせいの欲目?もあるかとは思います。

でもやっぱり、私はこの話も好きです。
…たぶん、もっと化けてきているのだろうなあ…。

そして。今作には
他の話から再登場されている方も何人もいます。
その中の二人、
「クロノス」に出ていた海老名館長さんと、
「あした あなた あいたい」の圭ちゃんのお母さん・佳江さん。
懐かしく思うと共に、
ちゃんと年齢が違っていることにびっくりしました。
館長のほうはすぐにわかったのですが
「あしたあなたあいたい」を最近見返していなかったので
アルトヴィーンのチョコレートの話を聞いたときに
あれ?同じような場面知ってる…と思い、
圭ちゃんの名前が出てきてようやく思い出し。
懐かしい人に再会できた感じがして、楽しかったです。
他の作品を知っていると、ちょこっと嬉しい。
このくらいのバランスがいいなあなんて、
しみじみと思っていました。

家族と言えば、野方さんの一家も好きでした。
三浦さん演じる耕平さんが
いい息子だよなあとか思いながら観てました。
めぐるちゃんはおじいちゃん大好きなんだなあとか
賑やかな毎日なんだろうなあとか
ほんの少しの場面から楽しんでました。

そういえば、原田さんが初舞台だったと聞いて
とっても安定してる方だなあと思いました。
さすがに未来の凛香さんはちょこっと若いかしらとか
山北さんと凛香さん、年齢以外の違いが多少微妙加減とかは
思っちゃったりもしましたが
それでもちゃんと違う人に見えて。
これからも、いろんな役で登場されるといいなあ。
とかって年齢見たらものすごいお若くてびっくり。

左東さんの萩塚さんも、
突然現れた老人を友人だと信じる様子や
若い頃の野方さんとのやりとりを観ていて
命を懸けて時間を飛び越えてでも助けたいと思えるような
そんな人に見えてかっこよかったです。

岡内さんの珠貴さんは、
ちょこっと最後は歳をとりすぎじゃあ…?と
思わなくもなかったですが
ちょっと小悪魔ちっくな感じが好きでした。
…萩塚さんが亡くなった世界では
いったい何が原因でなくなったのかわかりにくいのは
疑問なのですが…。
原作では家から一歩も出ないまま衰弱死ですけれど
とりあえず舞台では言葉を濁しすぎて、
事故だか事件だか病死だかよくわからなくて…。
イギリスに行ってまで
衰弱死もないかなあとは思うのですけれど。
ちょこっと、急激な気もしましたけれど
萩塚さんを喪って、号泣する姿は哀しそうだったので
ぼーっと歩いていて事故死とかだったのかなあとか思ったり。

…こまかーくこまかーく書いてますが
それでもこの話、とても好きです。
多少気になるところはあっても、それでも。
一時間の中に、こんなにいろいろぎゅうづめに入っていて
それでも引き込まれてしまうことに
驚くとともに、嬉しくも思いました。

個人的には、芝居で号泣した後に
いつも聞かせていただく「僕たちは劇場にいます」
というご挨拶でも号泣してしまいました。。

冬公演のときは、本当に
「どこへ向かっているんだろう」と
心配になったのですが
また、劇場に足を運びたいと思えるものを
贈っていただいたような感じがします。

単独での観賞も一応可能とはいえ
二作品連続での上演を考えて
構成されている話ということもあり
どうしても、ダンデライオンと比べてしまいますが
大阪の時点では、
「役」だけに見えてこない方もいらっしゃったりして
まだまだ、のびしろがあるような気がしていました。

名古屋・中野を経て、
すでに東京・池袋での公演も始まっています。
たくさんの人たちがこのお話を観てくださいますように。

機会があれば……お財布が許したら
もう一度くらい観たいなあとも思いますが
正直、すでに次回公演の先行も始まってしまったので
よくよく考えて、悔いのない選択をしたいと思います。

……よく、よく考えます。
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コメント 2

お〜い

一つ思ったこと。
野方さんはパーソナル・ボグをクロノスに組み込みますが。
吹原さんが過去の飛んだ後。
なんとなく、未来に飛ばないのかなと。
色いろあるんだけどカエルのブローチが。
博物館から未来に飛んでいかなかったって言うので。
過去に持ち込んだものは未来に飛ばされるんだけど、持ち主が未来に飛んだ時点で持ち物は過去においてきた。
持ち込まれた形になるんじゃないかなと。
パーソナル・ボグ関係の設定でなんとなく思った。
うん、なんとなく♪
by お〜い (2010-03-20 16:10) 

冬生

お~いさん
遅くなりました…。
私も、案外野方さんのいる時期あたりまでで
吹原さんの旅は終わっているんじゃないかなあとか
勝手に思ってます。
パーソナルボグの組み込みもそうだし
久美子さんが助かった時点で
ものっすごくすっきりさっぱり、
過去への執着もなくなるはずだから
多少は反発が軽減されるんじゃないかなあと。
ほとんど願望ですけれど笑

by 冬生 (2010-03-26 20:39) 

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